LIQUIDES IMAGINAIRES
MORNING STAR
MORNING STAR
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ALCHEMICAL TRILOGY
リキッドイマジネール、つまり創造的な水に囲まれたラボラトリーで、わたしたちは、植物、ミネラルといった素材を扱うだけではなく、天体を題材としてテーマにすることもあります。リキッド(液体)の持つ力と、メタル(金属)に宿る魂の間のミステリアスな交流により、ここに、錬金術のトリロジーが生まれました。まず、時を遡る旅から始めましょう。アルシミー、つまり、錬金術という言葉は、もともと、アラビア語の「アル=キミア」に由来します。これは化学という意味で、ここから、英語、ドイツ語のアルケミーという単語も派生しました。そして、古代エジプトの言葉では、「ケム=イト」は、黒い土地を意味します。この、昏い土地に、素材の本質を抽出する術の秘密は隠されていたのです。古来より存在するこの影から、わたしたちは、光を求める想いを生み出しました。光は、その高い精神性、宇宙の法則そのものとみなされ、常に想像力を掻き立てる対象となってきたのです。魔術的な力を秘めた香水によって、金属が変容を遂げます。その香りの威力の虜になってください。
【MORNING STAR/モーニングスター】
光は再び生まれ、新たな一日を告げる。
LIQUIDES IMAGINAIRESが探求してきた、香りによる錬金術。その旅を締めくくる最後の作品「MORNING STAR」が誕生します。
夜明けと黄昏、光と闇。
「MORNING STAR」が描くのは、相反するものがひとつに結ばれ、永遠に繰り返される光の循環。神話から着想を得たその香りは、眩い光を放ちながらも、どこか冷たく神秘的。深いマットブルーのアンフォラに収められた、ジェンダーを超えて纏うことのできるフレグランスです。
夜の終わりに、光を運ぶ者。
ギリシャ神話において、天空、惑星、星々は、強大な力を持つ神々の一族として語られてきました。夜明けの光を司る神Phosphoros/フォースフォロス。その姿は、夜の終わりと一日の始まりを象徴する松明を手にした光り輝く青年として描かれています。毎朝、母の戦車を導きながら天空を駆け、暗闇の向こうから新たな光をもたらす存在。そして彼には、夕暮れの光を司る兄弟、Hesperos/ヘスペロスがいました。
一日の始まりを告げるフォースフォロスが象徴するのは、日々繰り返される希望と、眠りから目覚める自然の生命。闇のあとに必ず訪れる光です。その輝きは古来、吉兆として捉えられ、天空の神々と天体現象が深く結びついていたことを物語っています。夜が永遠ではないように、光もまた、何度でも生まれ変わる。MORNING STAR が描き出す一筋の光は、私たちの内にある「明晰さ」と「希望」の大切さを静かに思い起こさせます。
私は、永遠に生まれ変わる光。
そして、新しい一日を告げる約束。
私は、MORNING STAR。
タイプ;フレッシュ ウッディ
トップ:ベルガモット、ピンクペッパーコーン、シナモン、インセンスアコード、スクラレン(ハーバル、ワックス、ウッディ、アンバー)
ハート:ミュゲアコード、フレッシュジャスミン、ミルキーノート
ベース:シダーウッド、アキガラウッド、パチョリハート、ベチバー、トンカビーン、ウッディムスク
調香師:Louise Turner/ルイス・ターナー(GIVAUDAN)
【MORNING STAR DURING ANTIQUITY】
-古代における MORNING STAR-
ホメロスの時代、古代ギリシャでは、明け方と夕暮れに現れる二つの「星」は、それぞれ異なる名で呼ばれていました。やがて、この二つの天体が実は同じものであることが発見されます。その発見は一般にピタゴラスによるものとされ、一部の文献ではパルメニデスによるものとも伝えられています。それ以降、明けの明星と宵の明星の双方を指す言葉として、「光をもたらす者」を意味する Phosphorosという名称が用いられるようになりました。しかしギリシャの日常的な言葉の中では、金星が見せる二つの姿は、その後も長きにわたって区別され続けます。その伝統は文学にも受け継がれ、明けの明星は「夜明けに属するもの」を意味する Eoüs/エオス、あるいは「光を運ぶ者」を意味する Phosphorosと呼ばれ、一方、夕暮れに輝く宵の明星には Hesperosという名が与えられました。文学の世界では、同じ天体を二つの存在として捉えるこの二重性が比較的後世まで残されていましたが、天文学的には、それらが同一の惑星であることはすでに正しく認識されていました。そして古典古代には、その惑星はすでに Venus - 金星の名で知られていたのです。
出典: Jean-Luc & Maryse Fouquet, Vénus dans l’Antiquité (2014)
【ALCHEMY WITHIN LIQUIDES IMAGINAIRES】
-LIQUIDES IMAGINAIRES に宿る錬金術-
神は二つの大いなる光を創りました。昼を司る、より大きな光である太陽。そして夜を司る、より小さな光である月。さらに、星々をも創り出しました。古代、錬金術師たちは惑星と金属の間に象徴的な対応関係を見出し、鉛を金へと変容させる「錬金」の思想を追求していました。LIQUIDES IMAGINAIRES が生み出す香りのポーションと、そこに重ねられた金属の変容に身を委ねながら、時を遡る旅へ。その旅は、「錬金術」という言葉の語源から始まります。アラビア語で「化学」を意味する Al-kimia。その言葉はやがて、英語やドイツ語における Alkemy へと変化していきました。
【TWO MINDS, ONE STAR: A DIALOGUE IN SCENT】
-ひとつの星をめぐる、二人の対話-
LIQUIDES IMAGINAIRESの創設者、フィリップ・ディ・メオと、「MORNING STAR」の調香を手がけたルイーズ・ターナー。神話と香りを結びつけるために、二人のクリエイティビティがひとつに重なります。自由な発想から生まれるシームレスな対話を通して、金星にまつわる伝説を、深い闇から輝く夜明けへと移ろう、流麗な香りの旅へと昇華しました。
Q. MORNING STAR を創作するインスピレーションは、どこから生まれたのでしょうか?
PDM:ギリシャ神話です。光を運ぶ二人の兄弟の物語に魅了されました。一人は昼を、もう一人は夜を照らす存在です。やがて、気まぐれな神々による試練を経て、彼らはひとつの星となることで報われます。それが、ひときわ強い輝きを放つことから「Morning Star = 明けの明星」と呼ばれる金星です。
Q. 異なる二人のクリエイティブなヴィジョンを、どのように調和させているのでしょうか?
PDM:ルイーズとの香りの物語は、妖しく危険な魅力を湛えた「BEAUTE DU DIABLE」から始まり、その後、2022年の Fragrance Foundation Awards で Best Niche Fragrance を受賞した、象徴的な「BLANCHEl BETE」へと続きました。彼女が物語や伝説を現代的なロマンティシズムによって見事に香りへと読み替える才能には、もしかすると英国にルーツを持つことも関係しているのかもしれません。彼女のクリエイションには常に、危うさと柔らかさの間に驚くほど精緻なバランスが存在しています。
LT:フィリップと私は、クリエイティブな感覚をとても自然に共有できていました。ブリーフは明確でありながら、自由な解釈を許してくれるものでした。当初は「Dark Night」というイメージから始まった香りでしたが、そこから次第に、より光を感じさせる方向へと進化していきました。フィリップは私に完全な創作の自由を与えてくれたので、質感、光、コントラストを通して、このアイデアを自由に再解釈することができました。二人のやり取りはとても率直でスムーズなもので、常に明快さと香りとしての精密さを大切にしながら進めていきました。
Q. MORNING STAR の物語を、どのように香りの構造へと落とし込んだのでしょうか?
LT:より深く、質感のあるベースの中から、徐々に光が立ち上がってくるような感覚を表現したいと思いました。いわば、闇の中から光が生まれる瞬間です。アルデヒドのフレッシュさが輝きをもたらし、クリーミーなウッドとムスクが、より包み込むような落ち着きのある奥行きをつくり出します。それぞれのレイヤーがゆっくりと変化していく様子は、地平線の向こうから少しずつ姿を現す夜明けのようです。
Q. MORNING STAR を構成する、キーとなる香料について教えてください。
LT:この香りの核となっているのは、光と質感のバランスです。最初に現れるのはアルデヒド。闇を切り裂く最初の一筋の光のように、香りに透明感と広がりを与えます。その構造を支えるのが、パチョリとベチバーのコンビネーションです。ウッディな深みと豊かな質感を香りにもたらします。そこにMethyl Laitone/メチル レイトンをわずかに加えることで、クリーミーで、どこかミルキーな印象を生み出しました。そして最後に、複数のウッディムスクがすべての要素をひとつにつなぎ、なめらかに余韻を残す輝きをつくり出します。フレッシュさ、ウッド、そして光。その相互作用を通して、一つひとつの香料が MORNING STAR の物語と、「光を運ぶ者」フォースフォロスが天空へと昇る姿を映し出しています。
Q. このフレグランスを唯一無二のものにしているのは、何でしょうか?
PDM:まったく分類することのできない香りです。夜が訪れる頃、地平線の上に姿を現す、最も明るく輝く惑星のひとつを、どうすれば香りに置き換えることができるのでしょうか。太陽に近い場所にあるからこそ、その光を強く反射する。その輝きを表現するように、香りは温かみのあるメタリックなアコードから始まり、フレッシュでフローラルな光へ。そして最後には、まるで宇宙を思わせるような、複雑でコンテンポラリーなウッディベースへと移ろっていきます。
LT:フォーミュラは意図的に要素を絞り込み、明確なイメージの連なりによって構成しています。このシンプルさが、コンセプトを香りへと変換することを可能にしました。創作のプロセスも非常にスムーズで、光、影、質感という本質的な要素に集中することができました。フィリップと仕事をすることで、香りに奥行きを持たせながらも、この明快さを最後まで失わずに仕上げることができたと思います。
Q. MORNING STAR の「パーソナリティ」を言葉にするとしたら?
LT:静けさを湛えながら、光を放つ香り。MORNING STAR には、透明感と温もりが共存しています。アルデヒドの明るさは、目覚めと新しいエネルギーを感じさせ、一方でクリーミーなウッドとムスクが、柔らかさとバランスをもたらします。そこにあるのは、静かな強さと再生の感覚。まるで長い夜が終わり、再び光が昇り始める、その瞬間のような香りです。
Q. MORNING STAR の「パーソナリティ」を言葉にするとしたら?
LT:静けさを湛えながら、光を放つ香り。MORNING STAR には、透明感と温もりが共存しています。アルデヒドの明るさは、目覚めと新しいエネルギーを感じさせ、一方でクリーミーなウッドとムスクが、柔らかさとバランスをもたらします。そこにあるのは、静かな強さと再生の感覚。まるで長い夜が終わり、再び光が昇り始める、その瞬間のような香りです。
【光の兄弟の物語】
時の始まり。空と海がまだひとつの調べを奏でていた頃、そこには光を司る二人の兄弟がいました。夜明けをもたらす者、Phosphoros。そして黄昏を見守る者、Hesperos。古き神々の息吹から生まれた二人は天空に住み、人間たちの世界を見守っていました。ひとりは一日の始まりを告げ、もうひとりは夜の訪れを告げる。それぞれが異なる光を携え、世界の時を紡いでいたのです。フォースフォロスとヘスペロスの間には、神聖な掟がありました。二人の光は、決して交わってはならない。なぜなら、天空の調和は夜明けと黄昏、その二つの均衡によって保たれていたからです。毎日、フォースフォロスは東の空に昇り、太陽が天空を渡る道を導きます。一方、兄弟のヘスペロスは西の空で待ち、夜が訪れる前に太陽を迎え入れます。そうして、時は絶えることなく巡り続けていました。しかし、気まぐれで悪戯好きな神々は、この天空の舞を興味深く眺めながら、やがて二つの星を結ぶ兄弟の愛を試してみようと考えます。
・THE TEMPTATION OF ETERNITY -永遠への誘惑-
ある夕暮れ。フォースフォロスが天空を去り、夜へと場所を譲ろうとしていたその時、宇宙の深淵から、柔らかく魅惑的な声が届きました。
それは、夜の女神 Nyx/ニュクスの囁きでした。
「なぜ、あなたはいつもその場所を譲らなければならないの?」
「ここに残り、兄弟とともに輝けばいい。二人なら、永遠に天空を照らし続けることができるでしょう。なぜ、闇に世界を支配させるの?」
フォースフォロスの心は揺らぎました。悠久の時の中で、彼は一度たりとも自らの役目を怠ったことはありません。しかし、兄弟と同じ空を分かち合えるのなら。孤独な旅を、もう一人で続けなくてもよいのなら..その思いが、彼の心を動かしました。フォースフォロスが地平線へと目を向けると、そこではすでにヘスペロスが輝き始めていました。消えるはずの兄弟の光が、いつまでも空に留まっている。それを見たヘスペロスは、何が起きているのかをすぐに悟ります。彼の心は重く沈みました。天空の掟を知っていたからです。もし明けの明星と宵の明星が同時に輝けば、昼と夜の循環は崩れ去り、世界は永遠の黄昏に閉ざされてしまう。
・THE BROTHER’S SACRIFICE -兄弟の犠牲-
賢明なヘスペロスにとって、兄弟は何ものにも代えがたい存在でした。しかし同時に、彼は宇宙の調和を深く愛していました。そして、選ぶべき道はただひとつであることを知っていました。
「兄弟よ、私はあなたを愛している。けれど、私たちは神々が定めた秩序を破ることはできない。もしあなたがここに留まるのなら、私が消えなければならない」
その声に宿る痛みを、フォースフォロスは感じ取りました。その瞬間、彼は悟ります。同じ運命を分かち合う兄弟に、これほど大きな犠牲を強いることはできない、と。最後にひときわ強い光を放つと、フォースフォロスは静かにその輝きを弱め、地平線の彼方へと姿を消しました。夜に道を譲り、そして暗闇の中でひとり輝くヘスペロスに、空を託すために。その犠牲を見届けた神々は微笑み、二人の兄弟にひとつの恩恵を授けました。たとえ離れていても、二人は時折、黄昏と夜明けの空でほんのわずかな時間だけ再び出会うことを許されたのです。その時、二人はまるでひとつの星となり、比類なき輝きを天空に放ちます。探してごらん。人々は夜明けと黄昏の空に、同じひとつの星の輝きを見ることがあります。それが、MORNING STAR - 明けの明星。夜明けをもたらすフォースフォロスと、黄昏を見守るヘスペロス。二人の「光の兄弟」を永遠につなぐ絆の証なのです。
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